トリップコラム ウィーン篇
お料理とワインのペアリングノート
<ウィーナーシュニッツェル(仔牛肉のカツレツ)>
軽やかで奥深い味わいの仔牛がラードで揚げられることによって味わいに奥行きがでています。フーグル グリューナーフェルトリーナー クラシックの爽やかな味わいと出会う事で仔牛のコクがよりはっきりとし、味わい深さが更に引き立ちました。仔牛に衣を纏わせる前に振った胡椒とも見事に共鳴し、パン粉の焦げた印象も、ワインの少しフュメ(少し煙のよう)なタッチと良く合っていました。
<グーラッシュ(パプリカと牛肉のスープ)>
味わい深いグーラッシュのトマトやパプリカの野菜としての美味しさはフーグル グリューナーフェルトリーナー クラシックの植物的な味わいと「似た者同士は良い相性」を醸し出していました。
ウィーナーシュニッツェル
スペインやイタリア、フランスからドイツ、オーストリア、そして東欧まで幅広いエリアで愛されています。
代表的なのはオーストリア料理のウィーナーシュニッツェルで、名前の通りウイーンの名物料理です。
仔牛を薄切りにして、更に肉用ハンマーや麺棒で叩いて薄くし、細かいパン粉を付けて、少量のラードやバターで揚げ焼きにします。
素材としては、基本的には仔牛なのですが、安価な豚肉、鶏肉、七面鳥など様々な素材が使われてはいます。
ウィーン風ポテトサラダ
ウィーン風ポテトサラダはウィーナーシュニッツェルの付け合わせの定番中の定番です。ドイツやオーストリアはポテトサラダが大好きです。ドイツの北のエリアではマヨネーズバージョンが多いですが、オーストリアからドイツでも南のエリアは、ポテトサラダはマヨネーズではなく、油、酢で和えます。刻んだ紫玉ねぎとマスタードが入り、牛の出汁を入れる事もあります。ジャガイモがまだ熱いうちに酢と和えるのがポイントです。
グーラッシュ(パプリカと牛肉のスープ)
グーラッシュはハンガリー起源の牛肉の煮込みです。鹿や仔牛でも作られます。
グーラッシュの作り方は、最初にタマネギを炒め、蒸すか焼いて四角く切った牛肉を入れます。現在作られるグーラッシュは、パプリカを入れキャラウェイ、レモンピールとニンニクで味付けします。
フーグル グリューナーフェルトリーナー クラシック
今回のワインは「フーグル グリューナーフェルトリーナー クラシック 」です。
フーグル グリューナーフェルトリーナー クラシックの産地はニーダーエスタライヒ州、アペラシオン名はヴァインフィアテルD.A.C.です。ヴァインフィアテルD.A.C.はオーストリア最北の生産地で、一番大きなD.A.C.でかつ最初に認定されています。
ヴァインフィアテルD.A.C.は白だけが認められ品種はグリューナー・ヴェルトリーナーです。グリューナー・ヴェルトリーナー:GRÜNER VELTLINERはオーストリア原産の白ぶどう品種です。オーストリアで全世界の80%以上を栽培していて、他の国で見かけるのはドイツやチェコでほんの少しだけの品種です。グリューナー・ヴェルトリーナーのグリューナーは「グリーンの」でヴェルトリーナーは北イタリアのヴァルテリーナ:Valtellina (Veltlin)から来ています。
特徴的な白胡椒のニュアンスと、ソーヴィニョン・ブランに似た植物的なタッチがあり、完熟するとメロンやトロピカルフルーツのような甘い香りも出てきます。
フーグル ヴィンマーは、30代の若い夫婦によって約10年ちょっと前に創業された家族経営の新しいワイナリーです。ウィーンから北に約60kmのヴァインフィアテルD.A.C.に位置します。Hugl(フーグル)は主人の名前で、ワイン農家出身の3代目。Wimmer(ヴィンマー)は、夫人の名前で同じくワイン農家の出身。ワイン農家出身の二人が結婚後フーグル ヴィンマーとして創業しました。
サントリーソムリエ 久保 將
一般社団法人日本ソムリエ協会の執行役員でもあり、サントリーではワインのスペシャリストとして、長年ワインの啓蒙活動に従事。
社内外で育てたソムリエ、ワインアドバイザーはなんと1,000名以上。
久保ソムリエの著書「ワインテイスティングの基礎知識」は必見。